第二話 壊れてゆくこの日常の中で(個別ヘッドライン 三門-1
外国人街でのハートフルな交友から無事帰還した普通の少年 備前三門。
しかし、悪魔召還プログラムを手に入れてしまったあの時から、彼の日常は、脆くも崩れ去ろうとしていた…!
真心を君に
いつもと変わらぬ月曜の朝…のはずだった。目覚ましではなく、母親の呼び声で目覚めた三門君です。
母「三門!いつまで寝てるの?学校遅れちゃうわよ?」スマフォにランタンからのメッセージが表示されている。
ジャックランタン:
「おー、三門!なんかそこの時計がやかましかったからさ、
叩いたら静かになってたぜ! 感謝しろよ!
俺のおかげでお前の安眠は守られたんだ!ヒーホー!」
母「珍しいわね、いつもギリギリには起きてくるのに。具合でも悪いの?」
※ 仮に具合が悪いと言ってみても、熱は無いし顔色も良いので登校を命じられる。
男子高校生は基本的にアホである
学校に行くと、クラスメートが先週のタマとの一件で盛り上がっている。
尾ひれがついて、なんかヒーローになってるらしい。
「すげぇな三門! あのマッチョ部の荒くれを、ひとにらみで退散させたって?」
「マッチョ達に襲われてる茨姫を、たった一人で救い出す―。備前ーマンガっぽいのは名前だけやないんやなぁ。お前ほんとにヒーローやで!」
「備前君の家って、戦国時代から続く暗殺者集団の家系なんだって?」
「え?俺は千年に渡り不敗を誇る伝説の古武術の流れを汲む流派の跡取りだって聞いたぜ?」
尾ひれがついて、なんかヒーローになってるらしい。
「ってか三門ぉ! あの黒石玉とどんな関係なん?アイツえらい可愛いけど、人を寄せ付けない棘だらけの茨姫だって評判じゃん!」
と、盛り上がっている所でクラスメイトが駆け込んでくる。
「おいおいおい!!大変だ! 茨姫が退学届け出したぞ!!」
一瞬静まり返った教室は、更なる混乱へと変わった。
特に男子一同の!!
「今朝母親がやってきて先生らと話してたらしい。
理由とかまでは分かんねーけど…」
「まさか、寿退社ならぬ寿退学?」
「相手は?」
「まさか三門?お前か?お前なんだな?
だからあのマッチョ部にケンカ売ってまで黒石を庇ったんだな!?」
納戸悟の言葉を思い出す…。
男子高校生は基本的にアホである
幸い、その後の授業の前置きとして、先生から”黒石玉は家庭の事情により退学するが、一部で噂になっている結婚するだの何だのというのは事実無根だ”と説明され、誤解は静まってくれそうだ。
だが、男子生徒達の落胆は大きく、 クラスの空気はテスト返却後よりも沈んでいた。
何やかんやで帰宅
帰宅すると、ちょうど母が帰ってきた。
ディスカウントショップで色々買い物してきたらしい。
缶詰類とか、米とか、本当に重そうなものばかりです。
「あら、お帰り、三門。聞いて♪今日特売だったから、ついつい買い込んじゃったのよ。
降ろすの手伝ってくれない?」
こんな重いもんどうやって積んだの?
「車までは運べたのよ。カートがあるから。車まで運んで、頑張って詰め込もうとしたら、親切な神父さんがいてね、ヒョイヒョイって全部詰めてくれたのよ~。
三門も帰宅部だからって、運動怠けてちゃダメよ。男は逞しくなくっちゃ!」
「回覧板回してくるね。最近不審者がいるから注意!だって…。
小動物の死骸が公園で見つかったりとか、怖いわねぇ…。
夕飯は帰ってからすぐ作るから、ちょっとの間待っててね。
有り合わせの物で適当に済ませた―なんてダメよ?」
ジャックランタンが心に話しかけてくる。
「腹部を切り裂かれた小動物の死骸が複数の公園で発見されている―って、yahooニュースにあったぜ…ひっでーことするヤツもいるよな。
それにしても、神父なのに、逞しい…。逞しい神父…何か、心当たりあるよな」
スタイリッシュ変態登場
「ほんとにねー、ひどい事する女もいるものねぇ」
空気が見る見る干乾び、土曜日に体験したあの妙な空間に変わっていった。
灰色のサマーコートを羽織った女性がたたずんでいます。
唇やらコメカミやらのピアスが痛々しいですが、ちょっと野性味のある美人といっても差し支えない風貌の女性です。
「備前三門。ごく普通の家庭に育ち、ごく普通の学生生活を送っていたごく普通の下らない一般人…。けれど、彼は一つだけその他烏合の衆とは違っていました。なぜなら…!」
バサッとコートを脱ぐとスタイリッシュに裏表逆に着直します。
不自然な逆光でよく見えませんでしたが、どうもコートの下は何も来ていないようです。
リバーシブルコートの裏面は鮮やかなエメラルドグリーン…。
しかし赤黒いシミがいたるところに付いたおぞましいカラーリングです。
「なぜならキミは、悪魔召喚士だったのです。」
「備前三門、挨拶は抜きだ。キミを殺しにきた♪」
女のスマフォから巨大な犬が2頭現れます。
JL「三門!やべぇよアイツ、やばい!!逃げろ!!」
修正